昨夜、無事に帰国致しました。
今回の渡欧、ハインスベルグ国際ギターコンクールの審査は私にとって生涯忘れられない貴重な経験となりました。
私とイギリスのグラハム・デヴァインはそれぞれリサイタルを行なったため、第2次予選からの審査でした。2次に残った18名の若者は誰が本選に出てもおかしくないほどの高レベルであり、またその時点で開催国のドイツからの出場者はひとりも残っていませんでした。その中で、上位3名の地位はずっと揺るがず、特にトプチィはたえず1位を守り続けました。
審査方法はほぼ東京国際コンクールと同じで審査員12名が各25点満点で点数を持ちます。ただ、このコンクールの特色として、実際の審査結果とは全く別に聴衆約300名の人気投票による「聴衆賞」そして地元や周辺都市で音楽を学ぶ中高生20名の審査による「若い審査員賞」が設けられています。
私は審査員の一人ですので、それぞれの優劣を本選前にお報せすることは極力控えました。(ファイナル前日24時間前の報告はそのギリギリの線を狙ったものです。優劣については何一つ書きませんでしたので、御了承下さい。)
さて本選ですが、細かい演奏に関するレポートは次の現代ギターに書きたいと思っています。審査はもめることもなく非常に順調でした。昨年は結果を出すのに4時間かかったそうで、今年は60分以上の審議は止め、最終結果は審査委員長に一任という新しい規約が設けられました。しかし、その規約も必要なく結果は10分で決まりました。
トプチィ君の強烈な表現力、藤元君の冴え渡る技術、ビアンコ君の驚異的な集中力、三者三様で甲乙付けがたいものでしたが、結果は先にお報せした通り…
第1位:マルコ・トプチィ(17/ウクライナ)
第2位:藤元高輝(16/日本)
第3位:ガブリエル・ビアンコ(21/フランス)
選外:ウラディミール・ゴルバック(28/ロシア)
同:マグダレーナ・カルチェヴァ(22/ブルガリア)
聴衆賞及び若い審査員賞(Prize awarded by junior jury):マルコ・トプチィ(写真)
審査員の結果が出てから、フェスティバル&コンクール実行委員長のテオ・クリングスから以下の事実が公表されました。
「1位優勝したマルコ・トプチィについて、審査員の皆さんに御報告があります。彼はこのコンクールに参加するため両親と共に一家3人でウクライナからやってきました。両親は昨日まで元気に二次予選を聞いておられました。が、実は…今朝、彼のお父さんは旅先のここハインスベルグで急性心不全で亡くなられました。まだ40代半ばと聞いています。母親はもちろん、マルコ本人の動揺は察するに余りあるものでしたが、午後になって父親の霊に報いるためにも、と出場を決意した次第です。コンクール実行委員会の立場としては、絶対の公平性を保ちたい。審査員や会場からの同情票などあってはならないという立場から、最終結果が出るまで秘匿させて頂きました。」
泣き出す女性審査員もいましたが、この発表はその後の受賞セレモニーを暖かい雰囲気にしました。(もっとも聴衆には最後まで知らされませんでした)
自分の父親を亡くした日に優勝する…劇的な人生を背負った若者がこの世にいるのですね。彼の弾いたホセのソナタ第3楽章「パバーナ・トリステ」は、本当に深い祈りと悲しみに満ちていました。本当に感動しました。
急に現実的な話になりますが、このような事態が起こった場合の遺体の搬送費用というのは実に高額だそうです。ウクライナから来た若者にそのような費用は負担出来ないというので、一時は審査員も幾らか金銭的に応援してあげようという話が出ました。が、さすがドイツです、市長さんの一声ですべての費用はハインスベルグ市が出してくれることになりました。良かった良かった。
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聞いた方も、忘れられない話ですね。
アリガトウございます。
福田さん、いつまでもお元気で頑張ってください。
実行委員長さんも市長さんも福田さんも良いお話有難うございます。感動しました。
僕は世界のギタリストの中で最も福田先生をご尊敬申し上げております。何年前かフォレストヒルで福田先生のマスタークラスを聴講させていただき、アナログの写真を撮り、福田先生から「報道の方?」と聞かれた聴講生を記憶していますか?あれが僕です.トプチィ君、これから大成の道を歩むでしょう!
尊敬する福田先生のブログ、これからもよろしくお願いいたします。
敬愛する福田進一先生へ。
紅の豚 拝。
youtubeにありました。
MarkoTopchii
で検索すればヒットします。